スキンシップとオキシトシンと自閉症

息子がまだ幼稚園に通っている時のお話です。

在園期間中に、たまたま

『子どもとのスキンシップが心身に及ぼす影響』

についての研究を、市と大学が協力をして行っており、息子の通う園はその研究に協力することになりました。

先生方は、園生活の中でスキンシップを意識し、1人ひとりの子どもに対して、登園時にギュッ、帰る際にもギュッとハグをしてくれました。

家でもスキンシップを多く取ることを意識するように言われ、意識的に子どもに触れることを行いました。

スキンシップを増やすことによって、唾液中に含まれるオキシトシン(後に説明します)がどう変化するか、また子どもたちの情緒や行動がどのように変化するか、3年間に渡って調べます。

オキシトシン・・・

自閉症の子を持つ親として、このワードに反応してしまいました。

現在、オキシトシンは自閉症の症状を改善する働きがある、という研究が進行中なのです。

少しでも息子の症状を落ち着かせることができるのであれば・・・という期待がありました。

在園中、研究に協力していただく大学教授が、スキンシップについての講演をして下さり、お話を聴いてきましたが、スキンシップは、自閉症者だけではなく、すべての子どもたち、そして我々大人たちにも良い影響を及ぼすことを知りました。

みなさんの子育てにお役に立てたら…と思い、当時の講演会の内容を思い出して、記事にしたいと思います。

幸せホルモン:オキシトシン

オキシトシンとは何か?

オキシトシンとは、脳の視床下部という場所で産生されるホルモンのことです。

俗に『幸せホルモン』とか、『愛情ホルモン』と呼ばれています。

妊娠、出産時に、大量に出るホルモンとして知られていて、日本では陣痛促進剤に使われています。

母乳を出させるのも、このオキシトシンの働きのおかげで、海外では母乳の分泌を促進するために使用されているそうです。

母親になって、我が子がかわいいと思えるのも、オキシトシンのおかげなんですね。

オキシトシンが分泌されると、こんな良いことがあります。

・幸福感が得られる

・ストレス低下

・血圧・心拍の低下

・痛みの軽減効果

・緊張の緩和

・愛情や信頼を形成

・短期記憶を高める

などなど、良いことがいっぱいです。

オキシトシンの分泌を促す方法

オキシトシンは、母親だけが出せるものではなく、男性でも女性でも、子どもでも誰でも自分の脳で作り出すことができます。

オキシトシンを出すための最も手軽で効果的なのは、スキンシップです。

他にも・・・

・人に親切にする

・見つめ合う

・優しく話しかける

・五感への刺激(好きな音楽を聴いたり、キレイな景色を眺めたり、おいしいものを食べる等)

・ストレスをためない

など、人への思いやりや愛情行為によって、分泌されるそうです。

ちなみに、オキシトシンを多く出しているお母さんは、旦那さんへの攻撃力が強くなる面もあるそうですよ。

私は・・・まさにコレ(笑)

出産してから、子どもがかわいくて愛情を注ぐ分、旦那さんの行動が目についてイライラしてしまいます😅

世のお母様方が、旦那様の愚痴が多くなるのは、オキシトシンが関係しているのかもしれませんね。

オキシトシンと自閉症の関係

コミュニケーションを苦手とする自閉症と、幸せをつかさどるホルモン、オキシトシンはどのような関係があるのでしょうか?

実は、自閉症の人は、

脳内でオキシトシン作り出すシステムに欠陥があるとか、

オキシトシンが正常に働いていない可能性があるという指摘があります。

自身で生み出しにくかったり、量が少なかったり、出ても効果的に働かないということでしょうか・・・

そして、冒頭にちらっと書きましたね。

現在、自閉症とオキシトシンの関係について、研究されている真っ最中です。

自閉症者の鼻から、オキシトシンの点鼻薬(スプレー)を投与して、どのような効果があるかを見るのですが・・・

一定期間オキシトシンを投与することで、自閉症者の表情が豊かになるという研究結果が、最近報告されています。

オキシトシンの投与が、思考や創造性を担う脳の前頭前野の働きを良くするため、このような結果につながったということです。

表情の改善の他に、常同行動限定的興味などの自閉症の特徴にも効果があったとか。

現在、自閉症に対しては、抗精神薬とか、抗うつ薬などを使った、対症療法(症状を緩和する療法で、病気の原因を取り除く根本的な治療とは異なる)しかありません。

オキシトシンスプレーが、世界初、自閉症の中心的な症状に対する治療薬となる可能性があるということで、期待されています。

私のような自閉症の子を育てるママの間ではホットな話題で、学校のママ友はだいたいこの情報を知っています。

日本でも、海外製のオキシトシン点鼻薬が通販で手に入るので、私の友人はそれを購入し、息子さんに使用しているそうです。

しかし、一般に売られているものは、オキシトシンの濃度が薄いそうですね。

友人は、それでも一定の効果を感じているようですが。

私も数年前に、オキシトシンの治験に参加したいなぁと思ったことがあります。

確か息子の年齢が低かったため、条件に合わず断念した記憶があります。

その時は残念に思いましたが、スキンシップの講演会に参加した際に、教授は、強い濃度のオキシトシンスプレーを使い続けると効きにくくなるので、スキンシップで増やす方法を…とお話しておりました。

オキシトシンがスキンシップによって分泌されることを知ってから、私はオキシトシンスプレーよりも、今はスキンシップでオキシトシンを増やし、私なりに息子で試している最中です。

実際、息子の脳内で、しっかりオキシトシンが作り出されているのかはわかりませんが・・・

もし、息子が、自分でオキシトシンを作り出すことに劣りがあるのであれば、余計にスキンシップを大事にして、出にくくて足りない分を補えるくらい分泌させてやりたいと思って、毎日むぎゅむぎゅしています😊

この理論が正しいかはわかりませんが、スキンシップによるメリットは感じています。

スキンシップの大切さ

触覚はおとろえない

人間の感覚、五感と呼ばれるものには発達の順番があります。

①触覚(肌)・・・母親のお腹の中ですでに指しゃぶりをしている。

↓↓↓

②嗅覚(におい)

↓↓↓

③味覚(味)

↓↓↓

④聴覚(聞こえる)

↓↓↓

⑤視覚(見える)

大人と同じように感覚を感じることができるようになるには、生後1年はかかるようですが、だんだんと発達していきます。

そして、老化は、逆に⑤の視覚から順におとろえていきます。

たしかに、私の姉は、40代前半ですが、すでに老眼が始まっています。

そして、70歳目前の母は、数年前から耳が遠くなり、最近では味覚も濃い味付けでないと美味しく感じなくなってきています。

次は、においか・・・

ですが、最後、触覚は一生ほとんどおとろえることがないそうです。

肌で感じることって人間の一生を通して大事だから、最初に発達して最後までおとろえずに残っているのかなと思いました。

抱っこの量と質

講演会で教授は、

1歳6ヶ月までは抱っこは『量』、それ以降は『質』を大切にしてください。

とおっしゃっておりました。

生後1歳までは、できるだけたくさん抱っこをしてあげて、忙しい時でも、ちょい抱きでも良いから抱っこをする意識をすると良いそうです。

ちょい抱きの目安は、1時間のうち5~10分子どもと接することのようですが、忙しくて余裕がない時は無理をしないでください、とのことです。

おんぶがお勧めだとも言っておりました。

両手が空くので、家事の最中でもできますしね。

私も、息子はおんぶで育てました。

1歳を過ぎたら、子どもが求める時にたくさん抱っこをしてあげます。

遊びの中にもスキンシップを取り入れることがお勧めだとか。

・ずいずいずっころばし

・背中に絵を描く

・くすぐり遊び

・絵本は膝に入れて読む

などなど・・・

また、単にずっと抱っこをしているのではなく、愛情のあるタッチ(抱きしめるなど)の量が、子どもとの愛着を形成する上で重要とのことです。

抱っこは、身体的に抱えることではなく、精神的に支え、情緒的に包むことと教わりました。

男の子にこそ、スキンシップは重要

男の子って、母親にとって特別かわいいものだそうで、私もそうですが、友達も、息子にばかりチューチューしてしまうと言っていました。

親族からは、将来マザコンにならないか心配だと言われるとか。

でも、これは誤解だそうで、スキンシップとマザコンは別物だそうです。

そして、男の子の場合、子どもの頃に両親からのスキンシップが少ないと、前頭葉が弱くなるという研究結果があるそうです。

女の子は、たいして差がないのに、男の子はガクンとその差が歴然です。

小学生になっても、男の子には特にスキンシップが大事なようです。

そして、これは、男女共通ですが、幼稚園時代にスキンシップが多い子の方が、小学生になってからの自立度が高いそうです。

スキンシップは、子どもの親への依存度が上がるのでは?と思いきや、その逆だということがわかりました。

私も、甘えたい時期にしっかりと甘えさせておくと、後が楽だと聴いた事がありました。

思春期、青年期になって抱えることになったり、反抗期に大きな反乱を起こされるのは大変なので、小さいうちに存分に抱っこしてあげて、情緒の安定した子に育てた方が、結果的に予後が良さそうです。

スキンシップはいつまで必要なの?

思春期の子にべたべた抱きつくのは・・・子どもに嫌われますね、きっと。

親はしたいかもわかんないけど。

うちの姉には、高校生の息子がいるのですが、寝る前に足の裏のマッサージを毎晩のようにしてあげています。

私も、たまにその甥っ子に会う時、思わず肩をなでなでと触ってしまいますが、嫌がらず触れさせてくれます。

叔母にもそのくらいさせておくれ🙏

甥っ子が大きくなっても、かわいいと思う気持ちは消えないんですよね。

うちの息子が生まれた時に、生後すぐベビーマッサージ教室に通ったのですが、その時の先生も、大きくなった子どもに対して、できる範囲でマッサージをしたり、足をさすったりしていると言っていました。

リフレクソロジーのセラピストさんも、中学生の子どもに足裏マッサージをしているって言っていましたよ。

”足”は大きくなった子どもも触らせてくれそうですね。

オキシトシンは、スキンシップだけでなくても、優しい声掛けなどの相手への思いやりで出ますから、日常的に会話をするっていうのも大切かと思います。

どんなに大きくなっても、心のスキンシップを大切に・・・

【子育て四訓】
乳児はしっかり肌を離すな
・幼児は肌を離せ手を離すな
・少年は手を離せ目を離すな
・青年は目を離せ心を離すな

抱っこを嫌がる子は?発達障害の子への接触方法

ここまで、一貫して抱っこは大事だと書いてきましたが、嫌がる子に無理やりは良くありません。

特に、発達障害を抱える子どもの中には、触れられることが嫌いな子、苦痛な子がいるので注意です。

身体のどこなら嫌じゃないか、どう触れれば大丈夫か等の検証を行う必要があります。

教授のおすすめは、背中や肩を、手を動かすのではなく、圧をかけるように触ること。

これ、私、大学生の頃にやりました。

背中を両手でゆっくり、少し強いくらいの力で、上から下にだんだんに動かしてもらう触れ方なのですが、すごく気持ちが良いのです。

マッサージ効果も高いです。

少し強めがポイントですかね。優しく触られるとくすぐったいので。

この”圧をかける”っていうのが、ピンときました。

圧迫されるのが好きな自閉症者がけっこういるからです。

テンプル・グランディンさんもそうですし、うちの息子の同級生にもいます。

身体に圧力をかけられた状態が落ち着くんだそうです。

テンプル・グランディン・・・アメリカの動物学者で大学教授。高機能自閉症の女性。『我、自閉症に生まれて』などの著書があります。

そして、触れている方も、何となく心地よいんですよね。

触れている人も触れられている人もオキシトシンが出てますから。

双方にリラックス効果があります。

ここで、注意点なのですが、親が触れたいと思えない時に、無理に触れると逆効果になることもあります。

スキンシップ、タッチケアの半分は、お母さん、お父さんのため(先程も書きましたが、触れる側にもオキシトシンが出る。)なので、無理せずに行えば良いそうです。

最後に

講演会で、良い文章を教えていただきましたので、記載しておきます。

抱きしめる、という会話(公共広告機構)

子どもの頃に

抱きしめられた記憶は、

ひとのこころの、奥のほうの、

大切な場所にずっと残っていく。

そうして、その記憶は、

優しさや思いやりの大切さを教えてくれたり、

ひとりぼっちじゃないんだって思わせてくれたり、

そこから先は行っちゃいけないよって止めてくれたり、

死んじゃいたいくらい切ないときに支えてくれたりする。

子どもをもっと抱きしめてあげてください。

ちっちゃなこころは、いつも手をのばしています。