【本】『僕は発達凸凹の大学生ー「発達障害」を超えてー』を読みました

私は、本を読むことが苦手です。

学生時代は、必要な教科書を読む以外、本を読んだことがほとんどありませんでした。

読書感想文も大の苦手😓

そんな私が、最近、発達関係の本を読むのがおもしろいと感じるようになってきました。

少しゆとりが出たのか、歳をとったのか・・・・

このカテゴリーでは、私が読んだ本をご紹介します。

感想は、私の覚え書き程度のつたないものですが、何かのご参考になれば幸いです。

『僕は発達凸凹の大学生ー「発達障害」を超えてー』

本が苦手な私の勝手な批評ですが・・・

おススメ度 ★★★☆☆

読みやすさ ★★★★☆

自閉スペクトラム症の当事者が自身のことを書いた本です。

後にも書きますが、大学時代のお話をメインに書かれています。

当事者の書いた本は、これ以外にも何冊か読んでいますが、これは・・・

自閉症の特徴が比較的薄い方が書いた本だなぁ~という印象です。

著者、頭も抜群に良い方ですし。

言語IQの高さを感じました。

東出直樹さんとか、ドナ・ウィリアムズさんが書いた本の方が、自閉症の当事者独特の世界を知ることができやすいかなと思いましたが、この本はこの本で、著者の考え、抱える困難さを知ることができました。

文章も読みやすく、本嫌いな私でも数時間で読めました。

おススメです。

読もうと思ったきっかけ

この本は、もともと義母が地元の図書館で借りてきて、私たちにも「読みなさい🖐」と半ば強制的に突き付けられた本です。

義母のお姉さんが進めてくれた本だとか・・・

タイトルを見て、「発達凸凹の大学生」かぁ。

大学生になれたのだから、さぞや頭の良い発達障害の当事者が書いたのだろう・・・と想像できました。

うちの息子もこう育てよ❗という義母からの期待だろうか・・・

うちの子は知的障害ありだからこうはなれないのよ~。

と若干憤りにも似た、イヤなプレッシャーを感じながらも、2019年8月5日に初版発行された新しい本で、巻末資料に主治医による検査結果の解説が付いているというところに惹かれ、巻末から読み進めることにしました。

目次

目次はこんな感じです👇

内容と感想

先ほども書いたとおり、発達障害当事者が書いた本になります。

著者は、長崎大学経済学部を卒業されていて、この本には、主に著者の大学時代の話が書かれております。

小・中・高校生まではさらっと記載

前半にさらっと小・中・高校時代のことが書かれていましたが、あまり思い出したくない記憶のようでした。

極度の人見知りで引っ込み思案な性格の彼は、友達にうまく話しかけることができず、クラスになじむことができませんでした。

小学5年生の時に、良き担任と出会い、自閉スペクトラム症の診断を受けることになります。

診断を受け、母親も勉強を開始し、著者の良き理解者になりました。

著者は、

「親の育て方次第でどうにかなる分野ではないが、きちんとした大人に育てるためには保護者の理解が大切だ」

と述べておりました。

ゆり
ゆり
全くその通りだと思います。

発達性強調運動症から来る、体育の授業の苦手さも書いていました。

「集団で行う球技などに参加することが困難である場合には、特別にランニングなどをマイペースにさせるなど、新たな選択肢を設けることがあってもよいのではないか」

ゆり
ゆり
これにも同感。
体育ってやっているところが見えるから、できなかったり、不格好だと恥ずかしいんですよね。
それと周りに迷惑をかける。
クラス対抗長縄とか、できない1人のためにクラスの成績が悪くなって責められる。私の時もあり、かわいそうな目に合っている子がいました😥

修学旅行に対しても、著者の「嫌なんだ」という叫びがひしひしと伝わってきました。

テーマパークが苦手な人もいる。

「義務的に修学旅行への参加を求めることは、考え物である」
ゆり
ゆり
本当にその通り。
これは、学校行事に共通して言えることかもしれません。私は幼稚園時代から、息子を無理に行事に参加させることはしていません。

その選択は”逃げ”ではないです。
熟慮の末の回避。行事による悪影響の予防策です。

他にも、著者に共感する部分がとても多かったです。

中・高校での英語の授業は、本格的な発音をすると珍しい目で見られるため、わざと日本読み的な発音をして発表するっという所、思わずうなずいてしまいました。

これは私の経験ですが、習ってない単語や文法を使ってテストで回答したら×をつけられました😟

本当に変ですよね、日本の学校。

そんな著者、高校生では進学校に進んだのですが、生徒たちから心無い言葉、態度を取られ、保健室登校になり、最後は不登校になってしまいました。

この時も、文化祭や体育祭の行事の困難さをについて書いています。

頑張って登校したものの単位が足りず、通信制高校へ転入することになり、そこから大学進学を目指して勉強したそうです。

強い孤独感から、社会に上手くなじむことができないコミュニティに参加してみるものの、支援者の女性に忘れられない一言をかけられ、驚き、怒り、傷つき・・・

それをバネに乗り越え、無事、地元の国立大学である長崎大学に進学することになりました。

大学時代を通してつけた自信

ゆり
ゆり
発達障害の方は、勉強がよくできる子も多い。

それで、とりあえず大学に進学するも、1人暮らし、周りは知らない人だらけの慣れない環境に、大学で挫折する人が多いと聞いたことがあります。
が、著者は逆で、大学、留学を通して花開いた方です。

著者は、これまでうまく友人を作ることができなかったため、大学では積極的な人間関係の構築を目指して、サークルに参加してみたり、留学先でルームシェアを選択するなど、かなり努力をされたのを感じます。

特に、留学の話は著者のチャレンジ精神を感じました。

彼は、得意な外国語を活かし、在学中に留学をします。

英語がTOEICで830/990点と優秀で、英語での会話ができる。

でも、海外経験がゼロということならば・・・まず英語をメインに使う国を選択するだろうと思うのです。

でも、彼が選んだのはイタリア

しかも、単身で1年間も。

イタリア語、簡単な言葉しか使えない状態だったのに。

すごい勇気です。

それを許可した親御さんもすごい。

幸い、イタリアの陽気な雰囲気に著者は合っていたようで、日本にいた時よりも円滑に人間関係を構築した様子でした。

苦手なパーティーに参加してみて、途中で具合が悪くなってしまうのですが、持参した手土産のチョイスが良く、そういう常識が備わっていることに関心しました。

ルームメイトと別れる際にも、ルームメイトの国の言葉で手紙を書くあたり、相手を思いやるやさしさを感じました。

結局、今も人間関係での苦手さがあり、人と深く付き合えないようですが、さまざまな経験と1つの事に集中できる力、言語の能力と、彼にはすばらしい点が多く、”障がい”というべき人ではないと感じました。

著者自身も、発達障害という言葉を避け、”発達症”という呼び方を多用していました。

いいなぁと思いました。

うちの息子も、病院でいただいた診断名が”自閉スペクトラム症”と”知的発達症(知的障害)”です。

知的発達症って、なんのことか伝わりづらくて今まで使ってきませんでしたが、私もこれからそれで行こうかな😊

あとがき

全体的に、とても文章が上手く、わかりやすい言葉で書かれていて読みやすい本でした。

各章の始まりが、おしゃれで好きでした。

発達障害の子がいる親としては、巻末に書かれた幼い頃の様子が興味深かったです。

特徴がうちの息子と似ている部分もあり、親近感が湧きました。

と同時に、有意語が出たのが2歳と遅かったのに、この言語IQの高さ、いつ言葉が達者になったのかを知りたいと思いました。

この本では、著書の幼児期~中学時代の事を深く知ることはできなかったので。

そして、国立大の経済学部を卒業し、留学経験があり、すぐれた文章能力、プレゼンテーション能力がある著者が、就職先に児童発達支援や放課後等デイサービスを実施するNPO法人を選んだことが気になりました。

これから啓発活動に尽力したい、執筆や講演などを充実させたくて選んだ結果なのか、発達症の困難さを考慮しての選択だったのか、その他何か考えがあってのことだったのであれば、その部分を知りたいです。

いずれにせよ、彼が今後どのような活躍を見せてくれるか、講演会、新たな著書などに期待したいと思います。

著者のご紹介

著者:山田 隆一(やまだ りゅういち)

1993年、長崎県南松浦郡上五島町(現在の新上五島町)生まれ、長崎市育ち。

長崎大学経済学部卒業。

幼い頃から学校に馴染めず、小学5年生の時に自閉スペクトラム症の診断を受ける。

大学在学中に、約1年間のイタリアへの交換留学を経験。

現在は、児童発達支援や放課後等デイサービスを実施する長崎市のNPO法人なごみの杜にて非常勤職員として勤務する傍ら、自らと同じく生きづらさを抱える当事者に対する理解を目的とした啓発活動に努めている。

協力:今村 明(いまむら あきら)

長崎大学病院地域連携児童思春期精神医学診療部教授。

福岡県大牟田市出身。

1992年長崎大学医学部卒業後、同大学精神神経科医局所属。

2009年より長崎大学大学院精神神経学准教授。

2016年より現職。長崎大学病院以外に、長崎家庭裁判所、佐世保児童相談所等に勤務。

現在、外来診療のほとんどが、児童思春期から成人期の発達症(発達障害)児・者を対象としている。

(※本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

発行:株式会社 星和書店