うちの息子は、自閉症+軽度の知的障がいがあります。
パニックと呼ばれる症状は、特に2歳くらいから幼稚園年中くらいまでの間、程度がひどく出て大変でした。
原因は、まだ幼い頃は、よくわからないことで泣くことも多く、私もなんでこんなに泣いているの?怒っているの?状態で困惑した経験があります。
幼稚園に入ってからは、自らのこだわりによってパニックを誘発することが度々あり、強いこだわりから本人を開放することで解決した経験もあります。
小学生になった今、息子の気になることはだいたいわかるようになり、パニックになりそうなことを避ける方法を取ることが多いのですが・・・
1番ひどかった時期は、1度泣き出すと短くて20分、ひどい時で2時間以上、床を転がりひたすら大声で泣き叫び続けていました。
それが多い時で日に何度もあり・・・
1日に2時間の大パニックを3回やられた日には参りましたね。
さすがに私も泣きたくなりました。
小さい体で狂ったように泣き続ける姿は、こちらも見ていて辛かったです。
目次
パニックを起こした時の症状
パニックの症状の出方は、人それぞれあると思います。
うちの息子の場合は・・・
- 大声で激しく泣く
- 床に転がって暴れる
- 人を叩いたり、物を投げたりする
- 自分の手を噛む、頭を床や壁などに打ち付ける
- 身体の硬直
- フリーズ
特に、わかりにくいのが、静かなパニックである身体の硬直やフリーズ状態。
まだ幼稚園に入園する前は、泣くとか、暴れるといった症状の末期に、体の硬直がありました。
見た目にわかりやすいのが足の指で、じゃんけんで言うグーの状態。
それが、大人の私がほぐそうとしても、なかなかほぐれない力の強さがありました。
体全体が固くなって、その状態で泣きながら転がっている感じでした。
その時は、まだその症状がパニックの一種だと知らず、泣いて力が入っているのかな?程度だったのですが・・・
療育施設で『硬直するパニックがある』という話を先生から聞いて、初めて硬直も息子のパニックの症状の1つだということを知りました。
フリーズについては、息子の場合たまにあるかな?くらいなんですが。
発達障害の当事者が、『情報過多で頭の中が混乱して真っ白になり、路上でパニックになって動けなくなる』といった内容を話しているのをテレビで見ました。
人に気が付かれないけれど、実はパニックを起こしているということがあるそうです。
息子も、私が気が付いてあげられていないだけで、知らないところでたくさんフリーズしている可能性はあると思います。
特に、幼稚園や学校では、泣きわめいたりするパニックが家と比べて極端に少ないので。
もしかしたら、静かにパニックを起こしているのかもしれません。
息子のパニックへの対応
安全な場所で放置する
福祉職で現役バリバリに働いている先輩ママさんいわく、自閉症の人がパニックを起こしている時は、脳が炎症状態にあるのだとか。
なので、外から手助けの介入があっても、何を言われても、それが入って来にくいそうです。
対応としては、放置して落ち着くのを待つのが1番だとおっしゃっておりました。
息子のかかりつけの病院の先生、療育施設の先生からも、同様の意見をいただいています。
周りに危険な物がないよう、安全な場所を確保して遠くから見守る。
専門書などを読んでも、このように書かれていることが多いです。
現在、息子がパニックを起こした際は私もこの方法をとっています。
パニックを起こしている息子を別の家具の少ない部屋に移動させるのってなかなか大変なので、部屋のおもちゃなどを少し片付けたりして。
とりあえず、怪我をしない程度の安全を確保したら、基本的に1人にして刺激を与えないような環境で落ち着くのを待つ・・・
ひたすら、待つ。
息子の場合、先程も書きましたが、大声で長時間泣き続けるんですね。
精神科の医師からは、「1日中泣いている子はいないから。いつかは疲れて泣き止むよ。」なんて軽く言われましたが、パニックが収まるまで泣かせ続けるって、虐待とか騒音で通報されるのではないかとヒヤヒヤすることがありました。
窓閉めは必須ですね。
近くで見守る
息子が幼稚園年中くらいまでは、パニック時には息子の傍にいることが多くありました。
もしかしたら、放置するのが正解だったかもしれません。
でも、私にはこれがなかなかできませんでした。
危なっかしくて目を離せないこともありますし、幼い我が子が泣いているのに、1人にさせることは良心が痛み難しかったですね。
傍で見守りながら、時折体をさすってあげたり、「辛いね。」と声をかけたり。
硬直した足をほぐしてあげたり、強く抱きしめてあげたり、時に放置もやってみたり。
息子のパニック時、どのような対応が良いのか模索していました。
結果、息子の場合、幼稚園年中くらいまでは、放置するよりも近くにいてあげた時の方が、パニックの収まりが早かったような気がしています。
もちろん、長時間付きっ切りではなかったですけれども、私が離れると、「ママー、きてー!!」と息子が言える数少ない言葉で訴えることもあり、息子本人も、私が傍にいることを望んでいたように思います。
パニック状態を叱ったり、無理やり泣き止ませようとしたり、ひたすら声掛けしたり。
そういった過剰な干渉はせず、ただ静かに横にいて時が経つのを待つことが多かったですかね。
ただ、子どもが成長してくると、パニックで暴れた時の力が強くなりますから、近くにいると下手をしたら親が怪我をすることもあります。
看護師の先輩ママさんは、子どものパニックで骨折した経験があるそうで、そういう時のために保険に加入した方がいいと助言をいただきました(笑)
こういうリスクもあるので、近くで見守るのは子どもの年齢や、パニックの出方により変わるかもしれません。
場所などの環境を変える
まだ幼い頃、この方法は、パニックの始まりとか、まだ本格的な状態に陥る前には多少は効果があったかな?
けれども、大泣き状態になっている時には効果が無かったです。
でも、今後、大人になっていくにつれ、この方法は予防という意味で大切になってくるように思います。
例えば、学校や職場で作業中にパニックになりそうになったら、ちょっとトイレに立って深呼吸をしに行くとか。
クールダウンですね。
学校では、席を立てない場合、アウターを頭からすっぽりかぶって外の世界と遮断して落ち着く方法を先生から教えていただきました。
外出先でのパニックは・・・
外出時、例えば買い物途中や、公園などでパニックになられると本当に困ります。
息子が小さい時も結構ありました。
お店でパニックを起こし、何も買えずに店を出たり、公園から両手で抱えて無理やり連れて帰ったり。
泣きわめくので、周りの注目を集めてしまいます。
それも慣れて恥ずかしいとかの感覚が麻痺していったんですが、公然でパニックが収まるまで泣かせ続けるわけにもいかないので、とりあえず車に押し込むんでいました。
車で大好きなDVDを付けて、気持ちがそっちに移るのを待ち。
DVDの効果が無くても、車が走り出したり、家に着くとピタッと泣き止むこともあり。
これも、1つの場所を変える効果だったのでしょうか。
でも、車が近くにない時は・・・
やってはいけないことだけれど、手やハンカチで無理やり息子の口を押えて、泣き声が漏れないようにしたこともあります。
周りの反応を気にして、一応しつけしてますアピールで叱ってみたり、本当にイライラして息子に当たったりしたこともあります。
あの頃の息子は本当に大変でした。
外出時のパニックは私も慌ててしまい、上手な対応は正直できていなかったと思います。
できていたことと言えば、パニックが起きそうになる前に帰る。
それくらいです。
パニックは、起きる前の予防が大事
結局、一度パニックを起こしてしまうと、本人も大変、周りも大変。
なので、パニックになる前に防ぐのってとっても大切です。
現在の息子の場合ですが、本格的なパニックに移行する前に、
『あ、これはパニックを起こしそうだな・・・』
という前兆を捉えることができるので。
パニックを引き起こす原因を取り除き、違うことに目を向けさせれば、ただのグズグズで済むようになりました。
本人も成長し、自分のことがだんだんわかるようになってきているので、
『クールダウンかな?』
とも取れるような行動を自ら取る時もあります。
例えば、1人で2階に行くとか、トイレにこもるとか。
それから、徐々に、私や先生に
「イライラする。」「辛い。」「悲しい。」
と気持ちを訴えられるようになってきています。
これは、言葉がなかなか出ない息子に対して、
「今、楽しいね。」とか「お友達とぶつかってびっくりしたね。」
など、息子がその時に思っているであろう気持ちを推測し代弁する行為を、園や学校、家で繰り返し行ってきた、療育の成果かなと思っています。
何より、言葉で自分の気持ちを伝えられるようになってきたあたりから、パニックがほとんどなくなりました。
出ても、10分くらいの短い時間で、しかも自分自身で回復できるようになってきたので、私も随分楽になりました。
症状はシクシク泣きながら、時折地団駄を踏む程度です。
でも、小さい頃は、なんでパニックになるのか。
その原因がわからず、知らず知らずのうちに機嫌が悪くなり、あっという間に大パニック。
そんなことがしょっちゅうありました。
親の観察力を磨く
ここで大切なのは、親の観察力かなと思います。
心理の先生からは、「事柄には原因があるはず。それを探すためにお子さんを徹底的に観察して記録してください。」と言われました。
なので、子どもがまたパニックを起こした。
で終わりにするのではなくて、なぜパニックを起こしたか、事が起きる前にあった出来事をできるだけ細かく分析して、紙に書き出したり、パソコンでまとめたりしてデータを取ります。
それを繰り返しているうちに、パニックのきっかけがわかるようになったり、未然に予防できるようになってきます。
当時、パニックの際に取った記録がすぐに見つからず、どんなことを書いたか細かくは忘れてしまいましたが、
- パニックになる前にしていたこと
- 誰と一緒にいたか
- パニックを起こした場所
- 思い当たる原因
- どんなパニックだったのか
- パニックが続いた時間
- パニックの時に取った対応
- パニックの後の様子
こんなことを毎回表にまとめて、心理の先生と検証していた記憶があります。
書き続けることは大変ですが、文字にすると子どもについての新たな発見があって面白いです。
行動パターンも見えてきます。
なので、記録を書くことをお勧めします。
うちの息子は・・・
まず、こだわりとパニックは連動していることが多かったです。
こだわりが通らず、パニックの原因となることが多かったので、それは、こだわりからくる悪いパターンを治すことで、落ち着きました。
他の場合ですが、機嫌自体が悪いと、過敏が増して普段は平気な些細な事でもイライラすることが増えます。
結果、パニックも増えます。
では、どうして機嫌が悪くなるのか。
色々検証しましたが、例えば、天気。
些細なことですが、太陽が出ていないと機嫌が悪くなりやすい、なんてことがありました。
外で遊べないからかな?
あとは、便秘とかね。
長いスパンで見ると、季節が影響していて、2~3ヶ月置きに機嫌の良い悪いの波が出るなんてこともありました。
気温や湿度の影響を受ける子、周りにも結構いますよ。
でも、息子の場合、睡眠時間が機嫌のカギを握ることが多かったですね。
それがわかったのは、睡眠と機嫌についての記録を毎日とっていたからです。
4歳から6歳までの3年間、毎日睡眠時間と体調の変化、機嫌はどうだったか、特別な予定がなかったか、などの記録を取っていました。
原因が何となくわかった。
では、睡眠が安定してとれるように、少しお薬の力を借りよう!
と対策が取れ、そのうちに睡眠が安定し、結果的に精神状態も安定し、パニックも減っていったように思います。
このように分析していくと、だんだんと機嫌が悪くなりそうなことを事前に予測できるようになりました。
パニックが頻繁に起こる機嫌の悪い時期は、息子を連れての外出を控え、買い物も主人がいる日に1人で行ったり、宅配を利用して、なるべく外に出ないようにしていました。
出ても自宅周辺とか、すぐに家や車に戻れる場所に留めて。
また、原因についても、積木で遊んでいる時にパニックを起こすことが多いから、しばらくはしまっておこうかな、とか。
1人でやりたい、でもうまくできなくて癇癪からのパニックが増えたから、息子が1人で取り組みやすい衣類や道具を選定し、できない物を外したりとか。
取り組んでいる療育の手を少し緩めて、ハードルを1つ下げようかな、とか。
そういう予防線を張っていました。
最後に
子どものパニックは、親にとってはだいぶ憂鬱です。
日常生活でパニックが頻繁に起こると、親もイライラします。
特に忙しい時など、自分に余裕がないとなかなか平常心を保つのは大変です。
でも、1番辛くて大変なのはパニックを起こしている本人です。
パニック状態から気持ちを立て直し、落ち着けた時。
私は息子に、「辛かったね。」「大変だったね。」「泣き止んで偉かったね。」「頑張ったね。」と声をかけて、しばらく抱きしめていました。
毎回のパニックの際にこのような声掛けをすることによって、子どもがパニックで辛い思いをしているのだということを、私自身に認識させる効果があったかなと思います。
辛いのは息子。
息子は頑張って立ち直ってくれたのだ。
そう思う事で、母である自分のイライラも予防できる、そんな気がしています。
息子自身も、自分の辛い持ちが少しでも親にわかってもらえた、と感じてもらえているのかな?
そうであったらうれしいです。