先日、友人から2人目ができたとの報告をいただきました。
その友人は、私の同級生で。(中学まで同じ学校だった)
子どもも同じ年の男の子で、診断名も自閉スペクトラム+知的障がいと同じ。
家も近く、今でも時折食事に行く間柄です。
彼女は2人目を前から望んでおりました。
友人の幸せな報告に、私も大変うれしく。
自分では産む予定はありませんが、私は赤ちゃんが大好きなので、早く赤ちゃんの匂いを吸い込みたいなぁ~と今からうずうずしています。
と同時に。
我が家は2人目をどうするのか!?
再び考えるきっかけになりました。
今回は、そのことについて、少し書いて行こうと思います。
目次
私が2人目を生まない理由
単純に、私は子ができやすい体質ではなく、出産もわりと大変で、それ自体に良い思い出はないというのはあります。
でも、もともと子どもは大好きで、2人くらいは産む予定でした。
当初の計画では、息子が手がかからなくなった頃、4歳差くらいで産めたらちょうど良いかな?と考えていました。
でも、ふたを開けてみると、息子は発達障害と診断され、3歳になっても、4歳になっても、もう手がかかる!
当時は、息子の療育で必死になっていて、次の子を考える余裕なんてなかったです。
息子が小学生になった今、彼も落ち着きを見せ、療育も落ち着き、私の負担も少なくなってきたので、40歳手前、産むなら真剣に考えないといけない年齢ではあります。
でも、今ではもう、次の子が欲しいとは思えなくなってしまいました。
”赤ちゃんが苦痛”な息子
うちの息子には感覚過敏があります。
特に、赤ちゃんの泣き声が苦手なようで、それはもう小さい時、まだ言葉が出ない時から、赤ちゃんに対して不快のアピールがありました。
泣いている子に叩きに行ったり、その子を避けたり。
私自身には感覚過敏はありませんので、その苦しさはいかほどのものなのか。
息子がどれほど辛いのか実体験として感じることができませんが・・・
ある日、受診した耳鼻科でのこと。
待合室で、隣にいた赤ちゃんが泣いていたんです。
病院に行けば、よくある光景ですよね。
こうした場面は息子も何度となく経験しており、その都度乗り越えていたのですが・・・
その時は、本当に苦痛そうに耳を押さえ、「お願い、赤ちゃん泣かないで。お願い・・・」と私にもたれかかって懇願してきました。
この息子の辛そうな姿は、今でもはっきり覚えています。
その時、『我が家に息子の苦手な赤ちゃんを迎えるのはやめよう。2人目は産まない。』
そう、ストンと、心が決まったように感じました。
今の息子の生活を犠牲にしてまでも、次の子を産む必要性はないなぁ。
そう思ってしまいました。
小学生になり、息子は精神的にも安定し、色々なことが理解できるようになってきています。
でも、その感覚過敏は未だに健在です。
先日も、回転寿司屋さんで、近くに座る子どもが泣き出したのが気になり・・・
息子は「叩きたい・・・」「赤ちゃん泣かないでよ。」と小さな声で私につぶやきました。
我慢はできるようになってはいますが、相変わらず、今でも泣き声は苦手なようです。
赤ちゃんと一緒に生活をするようになれば、泣き声にも慣れるのか?
そういうこともあるかもしれませんが、発達障害の過敏の辛さは、慣れるようなものなのかがわからず・・・
家に赤ちゃんが常時いる生活は、息子を精神的に不安定にさせてしまうのではないか、という心配があります。
今回の友人の妊娠をきっかけに、息子に簡単な言葉で兄弟が欲しいか聞いてみたのですが・・・
「うちにも赤ちゃん欲しい?」の問いかけに、「いらない」と即答した息子。
赤ちゃんがずっと家にいるのはすごくイヤだということです。
義弟の子がまだ小さい時に遊びにくるだけで嫌がっていましたからね・・・。
常時一緒は、やっぱり厳しいかな。
一人っ子が寂しいは周囲の誤解では?
一人っ子って寂しくない?
遊ぶ相手欲しそう。
兄弟がいたら、もう少し言葉が成長するんじゃない?
人とうまくかかわれるようになるんじゃない?
家族から、そんなことを言われたことがあります。
でも、うちの息子は、みんなと遊ぶ以上に、1人で遊ぶことが好きだと思います。
ペースを乱されずに自由が良い。
最近は、私と一緒にリビングにいても、突然1人で2階に上がり静かに過ごす場面が増えました。
実家に行っても、私と実家の母であれやこれや話していると、話し声がうるさいのか、1人でトイレや寝室にこもっています。
もう彼は、そういう静かな生活スタイルが定着してしまっているので。
そもそも、自閉症の方は、こだわりや過敏から家族であっても他の人と合わせるのが疲れるだろうなぁと想像できます。
学校やらなにやら外の世界で頑張っているので、家くらい自由気ままで、静かに落ち着かせてあげたいと思うのです。
そういう意味で、自閉症の息子には、一人っ子って良い環境なのかな、なんて思います。
兄弟で発達障害というリスク
これは、あくまで、私の考えと前置きしておきます。
遺伝について。
発達障害自体の原因がまだはっきりとわかっていないので・・・
遺伝するとか、どのくらいの確立で遺伝するとか、いやいや環境要因も関係するだとか、そういったことがちゃんと解明はされてはおりませんが・・・
兄弟そろって障害があるとか、親がそうで子どももそうとか、私の周りには結構多いです。
同じ診断名だったり、上の子が自閉症、下の子は染色体異常など、違う障がいを持つ兄弟さんもおります。
息子が幼稚園時代に、私は発達障害児を育てるママの子育てサークルに入っていたのですが、そこで出会った8名程のママ友たち。
兄弟そろって発達障害、または親自身が発達障害という方は4人いて、さらに、親族の誰かしら発達障害、または疑いがある方がいるケースは6人いました。
8人中6人ってすごい確率・・・
これは、極端に集まっちゃったなぁ~という印象ですが。
一般的に比べると、やっぱり私の周りには発達障害の方が多いなぁと感じます。
発達障害と遺伝って関係性があるよなぁと、肌で感じるというか、そう思わざるを得ない実情が身近にあります。
そういうこともあって、2人目を躊躇する気持ちもありました。
今現在は、次の子にまた障害があって生まれても、私ならば育てられるかなぁと思いますが。
息子がまだ幼稚園で大変な時期は、2人目もそうだったらどうしよう・・・という思いはありました。
発達障害の子を産みたくない、ということではないんです。
もちろん、障がいなく生まれてきてほしい、という願いは本音ではありますが、例え障がいがある子が生まれたとしても、もうそんなに動揺しないと思いますし、息子と同じように愛せる自信はあります。
でも、兄弟がいることで、療育や息子のために割ける時間が短くなることを懸念しました。
兄弟のことも、息子のことも、中途半端になってしまうのではないか、と。
みなさん、上手くやられていてすごいなぁと思うのですが、私はそんなに器用ではないので。
また、2人目の子が定型発達の子であった場合、”兄弟児”という新たな難しいテーマが生まれます。
このテーマに、私は向き合えるのだろうか、という不安は結構あります。
実際、障がいのある兄弟がいるって、きれいごとではない複雑さがあり、当事者を苦しめています。
兄弟児側の苦労
知的障がいの兄が嫌い
大学時代の同級生のお話です。
”お兄さんが知的障がい者”という子がいました。
私もその子も福祉学部に所属して、共に障がい者の分野を多く学んでおりました。
彼女は、外見もとてもキレイな子でしたが、心も優しく福祉に向いているなぁ~という印象の子です。
ある日、少人数での討論会か何かで、彼女はみんなの前でお兄さんの話をし始めました。
最初は、「福祉学部を専攻したのは、障がいのある兄がいるから。」という話で。
『お兄さんのためにえらいな。』なんて、安易に思っていたのですが・・・
彼女は、「学べば学ぶほど、兄を知ろうとすればするほど、兄の事が嫌いになる自分がいて、そんな自分が嫌になる。」と苦悶する心の内を話してくれました。
これまで、障がいのあるお兄さんがいることで、友達にからかわれることがあり、兄の存在を隠し、兄弟はいないことにしていたそうです。
そして、これから・・・
将来、自分の結婚相手に兄の事を理解されるだろうか。
自分の産む子に障がいが遺伝しないだろうか。
親の亡き後、兄の面倒は誰が見るのか。
そんな不安でいっぱいだと語っていました。
障がいのある兄弟の力にはなりたいと思ってはいても、自分自身に拒否する気持ちがあり、そうした感情が生まれることにも罪悪感を抱いてしまう・・・
彼女の背負う非常に重たい物を垣間見た瞬間でした。
兄弟児を思う親も悩む
支援学校の座談会では、決まって兄弟児についてのテーマが上がります。
同じ境遇のママ友との会話にも、よく兄弟について話がでます。
「上の定型発達の子が、下の障がいのある子に気を遣いすぎてかわいそうだ。」
「定型発達の兄弟を色々な場所に連れて行ってあげられない。障がいのある子が別行動になってしまうため、家族みんなで回れない。」
「妹の机が支援学級にあることを友達から指摘され、上の子が不登校になってしまった。」
障がいのある子を抱える親には、定型発達の子だけを持つ人たちは抱かないであろう不安、葛藤があります。
また、兄弟自身、我慢を強いられる場面は、一般と比べて多いはずです。
なので、私の周りのお母さん方は、定型発達の子との時間を意識して持つようにしている方が多いです。
障がいのある子を放課後等デイサービスなどに預け、定型発達の子と動ける時間を、または、家で静かに過ごせる時間を、サポートを上手に利用して積極的に獲得している印象です。
それでも、話を聴くと兄弟の子の心のケアの難しさを感じます。
一緒に住んでいるから、いつも身近な存在だからこそ、障がい者自体に対する負の感情を抱いてしまうことだってあると思います。
兄弟同士、口を利かないことでなんとか同じ空間に居られる子から、仲が良すぎて、義務のように下の子に優しくする姿にかえって心配になるという話も聞きます。
障がいのある兄が、妹に手を出すので、妹はいつも傷だらけ・・・なんて話も耳にします。
小さい時ならまだしも、妹さんが中学生、高校生になっても手を出される状況が変わらなかったら・・・
私だって、そんな兄がいたらイヤになると思います。
世の中には、そうした悩みを抱える兄弟児がたくさんおります。
兄弟たちのメンタルをサポートする体制が充実するとともに、兄弟児に対して、親への適切なアドバイスもまた、必要性を感じます。
また、将来、兄弟同士が良い関係を築けるように、障がいのある兄弟を社会に安心して預けられる仕組みが、もっともっと広がりを見せていくことを願います。
親は兄弟に期待すべきではない
定型発達の子への期待
またまた、知り合いの話なのですが。
彼女には、3人の子どもがいます。
上の男の子は発達障害グレーゾーンです。
でも、小さい時は手がかかり大変で、発達関係で通院もしております。
2番目の子は、ダウン症+自閉症+知的障がいのある女の子。
足にも少し不自由があり、支援学校に通っています。
上の子との年齢差も2歳だったので、同時期に大変な思いで育てた子でした。
お母さんは、流産しやすい体質で、この間に何度も流産を経験しているのですが、3人目を強く望んでおりました。
夫婦で共通している意見は、「まともな子が欲しい。」ということ。
そういう表現をしておりました。
定型発達の子が欲しいというのもあるそうですが、2人目の子の将来を案じてそう思うそうです。
結局、3人目が誕生し、この夫婦としては望む幸せを手に入れたのかもしれません。
でも、そんな気持ちで生まれた3人目のお子さんは、どんな風に育てられるかが不安です。
その子もまだ幼く、もしかしたら同じ発達障害関連の障がいを抱えていて、これからそれがわかるかもしれませんが。
そうであってもなくても、生まれた時から将来の兄弟の世話と、親の期待する社会人としての姿を望まれている。
親によっては、すべての期待が定型発達の子に傾いてしまい、過度な教育を強いているケースもあります。
このご夫婦が、お子さん自身を尊重して子育てをされることを、陰ながら見守ることしかできません・・・
親の亡き後の不安はあれど・・・
親の亡き後、頼れる人として兄弟の存在は確かに心強いことではあります。
うちの場合も、私たちが亡くなった後、息子は天涯孤独になるのかな・・・という不安はあります。
でも、だからといって、兄弟を作ってお世話を頼もうとは思いませんし、思ってはいけないと思います。
兄弟には、その子の幸せがあり、人生がある。
親の意向を押し付けるべきではないと思います。
でも・・・やっぱり兄弟。
家族ですから、無関係に生きるのってなかなか難しいですかね。
苦しくならない距離感って人それぞれ違うと思いますが、適切な関係を維持していけるように、親もサポートしなくてならないと思います。
そういう意味で、一人っ子は潔いです。
甘えられる相手が誰もいないので、親の方の覚悟もできます。
将来、1人で生きて行ってもらうために自立をさせなければ!
または、1人が難しく、社会のお力を借りていく場合は、支援をする側もこの人なら支援したいと思えるような、愛される人、慎ましい人に育てなければ!という気持ちで、最初から割り切って子育てができます。
施設で暮らしたとしても、お正月やお盆くらいは帰れる家があって欲しい。
たまには一緒に食事をしてあげて欲しい。
兄弟がいるとついついこうした期待をしてしまうと思うのですが、一人っ子はこうした期待をかける相手がおりません。
我が家の場合、強いて言えば息子の従弟が今のところ近くに数人住んでおりますので、その子たちに淡い期待をするくらいです。
お金という見返りがあれば(笑)たまには息子の相手をしてくれるかもしれませんが。
最初からそういう望みは抱かないようにしています。
成年後見人も専門の方にお願いして、サポートしてくれる機関や施設と連携を密にしていけば、何とか生きていけるかなと。
あとは、本人に努力してもらって、良きパートナーを見つけること。
兄弟よりは、むしろそちらに期待しております。
お互いがわかり合える、当事者同士がパートナーになるっていいなぁと最近よく思います。
友人でも良いし、恋人でも良いし。
将来は、息子自身の心の拠り所になる相手が見つかることが理想です。
最後に
2人目を産む産まないの話から、兄弟児の話までだらだらと書いてしまいましたが・・・
療育仲間のママ友たちに、「兄弟を産んで良かった?」と口々に聞いて周った際、誰もが「良かったよ。大変だけれども、兄弟がいるってすばらしいよ。」と話してくれました。
きっと、大変なことよりも、良いこと、幸せなこと、楽しいことの方が多いということだと思います。
我が家も、もし2人目を出産した場合、それはそれで、幸せなんだろうなと思います。
でも、私の場合は現状に満足しているので・・・
そう、結局、息子の発達障害や感覚過敏が、次の子を出産しない本当の理由ではなくて。
家族みんなが今の形に十分満足していて幸せを感じているので、特に変化を望まないからだと思います。
我が家は3人家族体制を、これからも維持していく予定です。